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子供の「幸せに生きる能力」を育てよう
子供の将来を考えるとき、「幸せになってほしい」と願わない親はいないと思います。
では、どうしたら子供が幸せになれるのかというと、幸せに生きていくにはやはりそのための能力が問われるのではないかと思います。
だとすれば、今度は、幸せに生きる能力とはいったい何なのかという話になってきますが、
私は、幸せになるために必要な能力には二つの要素があると思っています。
ひとつは、外側から見ていてひじょうにわかりやすい人間の技能的な能力。
一般的な知識とか、テストの点数に表されやすい学力といったものです。
この手の能力は、
親が現実的にわが子の能力をはかろうとしたときにいちばん目につきやすい種類のものです。
また、伸ばそうと思ったときにわりと簡単に伸びていってくれるものなので、
親としてはどうしてもこちらの能力をのばすのに全力を注ぐことになりがちです。
ところが、実際には、子供が大人になって社会に出たときに、
その人間が幸せになるかどうかは、その人のもっているもうひとつのほうの能力、
私は「人間力」とよんでいますが、こっちのほうがはるかに大事なのはあきらかです。
人間力とは、まわりの人たちと人間関係をうまく保てる能力であり、
またそういうものがひとりの人間が幸せになる上でひじょうに重要になってきます。
たとえば、目の前に10の選択肢があったとして、
「どれでもいいよ、ボクはやってみるよ!」
と気軽に挑戦していける若者と、
「この条件とこの条件が満たされた、この道しか選べる道がない」
という若者とでは、いろいろな意味のチャンスが10対1の割合で違ってくると私は思います。
結局、問われるのはその人の容量の大きさ、ふところの深さということになるでしょうか。
それでも親から見ると、「いい大学に行って、いい仕事について」というのが、
幸せになるための大前提のように思えてしまいがちです。
実際、幸せになる確率が高いという意味ではたしかに真理だと思いますが、
そのまえに「わが子が幸せになるためには、もっと大事な要素があるのだ」ということに、
まず気がついて欲しいと思います。
気がついた上で受験勉強をスタートさせると受験勉強自体がひじょうにうまくいくという、
一見逆説的な結果が出てくるのは、
中学受験という低年齢の子供たちの受験を考える親にとって
じつはいちばん大切なところかもしれません。
 
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数学オリンピックの世界チャンピオン
学習指導会から武蔵中学に進む子供が多いのですが、
悠々と余裕をもって受かる子もいれば、辛うじて合格ラインを突破した子もいます。
前者の例ですと、現在、大学に在学中のC君の例がいいかもしれません。
彼はアメリカからの帰国子女で、五年生のときに指導会に入会しました。
ひじょうに素直で頭の良い子でしたが、国語に関しては外国生活によるハンディもあり、
当初の成績は彼にすればあまりかんばしくありませんでした。
いっぽう算数-数学と呼んだほうがふさわしいかもしれませんが-は抜群でした。
なにしろ、小学校の算数の難問を、方程式をノートいっぱいに書いて解いていました。
多分、並の高校生では太刀打ちできない学力を備えていたのでしょう。
ところが中学入試問題は、方程式を使うとかえって面倒なものがあります。
つまり、「X+Y=a  2X+4Y・・・」といった数学的な解き方ではなく、
「○○算」「△△算」といった算数的な解き方のほうがスッキリ解ける場合があり、
それを教えたところ、
「へえ、算数っておもしろいんだ!」
とばかり、たちまち「算数」のとりこになってしまいました。
もともと数学センスが抜群にある子でしたから、
算数に強い子供が多い指導会の中でも
たちまち頭角を現してきたのはいうまでもありません。
いっぽう他の教科も、算数に引きずられるようにして成績は急上昇し、
志望校の武蔵中学への合格はまず間違いなしというところでした。
予想通り、C君は武蔵に合格しましたが、
これから先が「数学少年」の面目躍如たるところです。
なんと武蔵高校二年のとき、世界の頭脳が集まる「数学オリンピック」で
みごとチャンピオンに輝いたのです。
同級生の話によると、C君は予備校の模擬試験の成績上位者の常連で、
全国にその名前を知られていたようです。
大学は理学部の数学科に進学するかと思っていましたが、
結局は東大理Ⅲ(医学部)に進学しました。
数学にはめっぽう強いC君ですが、彼の心優しい性格からすると、
「医は算術」とばかり、金儲けに精出す医者には間違ってもならないでしょう。
 
スキル5 コントロールリスニング
 上手に聴いて、相手の自発的発言を増やします
 
スキル4が上手な質問の仕方に、スキル5が上手な聴き方に当たるので、
この2つでワンセットだと先述しました。
 相手に好きに話してもらって単に聴けばよい、というのではもちろんありませんね。
課題解決に向かわないといけませんので、
相手を「コントロール」しながら、心を込めて「リスニング:聴く」しましょう。
 ヒアリングの技術というと、意外と質問の仕方ばかりに目がいって、
この「聴き方」が軽視されることがありますので注意しましょう。
 
①狙い
 ①上手に聴いて、相手の自発的発言を増やす
 相手が答えてきたことを上手に受けて(聴いて)、
相手がもっと話そう、もっとこんなことも聴いてくれといった気持ちになり、
自発的発言が増えるようにしましょう。
 当然、相手のことは、こちらにはよくわかりません。
だからヒアリングをするわけです。 
「スキル4 アクティブクエスチョン」でヨミを働かせましょうといいましたが、これにも限界があります。
この「スキル5 コントロールリスニング」は、その「ヨミ」を補うものです。
こちらが読めない部分は、相手に自発的に話してもらうしかないのです。
 極端にいえば、「どういうことでしょうか?」の一言で、
相手がこちらの必要とする情報を全て話してくれれば、
こんな楽なヒアリングはありません。
ところが、現実にはそうはいきません。
相手の口が重かったり、問題意識に乏しかったり、
問題把握にずれや誤解があったり、
こちらに押しつけようとするだけで納期の話しかしなかったり、
・・・など、なかなか上手くはいきません。
したがって、こちらから上手に聴き出す必要があるのです。
相手がどのような出方をしてきても、
それをなんとか「コントロール」して聴いていきたい、
それがこのスキルの狙いです。
 
②ポイント
 ①真剣に聴いていることを言動に表す
 アイスブレイクでも紹介しましたが、
特にスキルにおいては「真剣に聴いていることを言動に表す」ことが大切です。
これの上手下手により、聴き出せる内容がかなり違ってきます。
 
②相手の気持ちに接近する
 上手に聴いて、対立関係を少しでも両立に向かうようにしましょう。
そこで、相手のいうことを親身になって聴き、相手の気持ちに接近しましょう。
こちらから接近していくのです。
たとえ相手が距離感を保とうという姿勢だとしてもです。
 
③内容を整理して、論点をハッキリさせる
 「IT技術力」や「構造化して捉える頭の使い方」が問われるのが、
この内容を整理する力です。
いくら相手がキチンと話してくれても、
それを課題に向かって整理できるかどうかに個人差が大きく出ます。
論点を明確にして話を進めることができるように、常に心がけましょう。
おばさんたちの世間話のように、
いったい何を話しているのかわからないけれど盛り上がっている、
というのでは交渉の場では困ります。
 
③やり方
 ①相手が話したくなる態度で
 スキル4でも「穏やかな態度」と書きましたが、スキル5ではさらに重要になります。
聴き方においても、相手が自発的に話したくなるように、
うなずくこと、表情に変化をつけること、キチンとした姿勢を取ることなどに注意しましょう。
 
②あいづちを状況対応する
 ハウツーとして案外と軽視されているにもかかわらず、
練習すれば上達が早く、しかも自発的発言を増やすという点で効果があるのが、
この「あいづち」です。
あいづちは「スキル1 アイスブレイク」でも紹介しましたが、
ここではそれをいわば本格的にやりたいのです。
 「はい」「いいえ」のような単純なものから、
「なるほど。それは、具体的にどういうことでしょう」
のような話を促進するものまでいろいろありますので、
その状況に最もふさわしいあいづちを打てるよう、日頃から意識してください。
ワンパターンで手抜きをしないようにしましょう。
何をいっても「はい」ばかりでは、真剣さが問われます。
 また、相手に聴こえるように声に出すという点も重要です。
自分ではいっているつもりでも相手には聴こえていない、
というのではやっている意味がありません。
 慣れていない方は、
少なくとも「単純」なあいづちだけでも必ずいうようにするところから始めてください。
「なるほど」は、大体どんなときでも通用する便利なあいづちです。
 次に、それがワンパターンにならないように、
ほかのあいづちを折り込むようにします。 
 
意識して、交渉の中で数回は、「ほめる」あいづちを打ちましょう。
「特にほめるようなことはありませんよ」という人がいますが、
確率的にいって、数回くらいはあるはずです。
ないと思ったら、自分は相手に好感をもっていないのだな、と考えてください。
 
③肯定的に
 相手との対立点を明確にするのは、課題解決に向かう通過点として必要だからです。
対立が目的ではもちろんありません。
したがって、できるだけ肯定的に聴いていきましょう。
対立点(ギャップ)にばかり目を向けずに、共通する点、見解が一致している点も強調するのです。
その点に立って聴いて、まとめていきましょう。
 不必要に否定語を使わないようにします。肯定語に言い換える方がよいのです。
 
④要所ごとに整理・確認する
 要所要所で、「そうしますと、~ということでしょうか?」と必ず議論を整理し、
まとめ、確認していきます。
 とはいえ、「では、納期は死守するということですね」というような、
相手の希望をうのみにするまとめ方ではダメです。
各論に落として、具体的に確認していきます。
「では、この機能は社外発表したので、納期を守りたいと課長様はお考えなのですね」
のように確認します。
 
Q&A 17
 Q:コントロールリスニングは、誠意をもって相手の話を聴くことが重要である。
したがって、あいづちの打ち方や笑顔の出し方など、表面的なテクニックも大切である?
 
A:「表面的なテクニック」というと、
その場しのぎの小賢いやり方みたいで、そんなことはしたくない、と思われる人もいるでしょう。
しかし、交渉とは人間関係ですから、
ちょっとしたやり方(→「表面的なテクニック」)で、
相手に誠意が伝わったり伝わらなかったりするものです。
 彼女(彼氏)が誕生日だというのに、
花を贈るのはおろか、電話、メールの1つもしないと、
どう思われる確率が高いでしょうか? 答:イエス
 
Q&A 18
 Q:コントロールリスニングは、相手のいったことを、
要所要所でまとめることが大切である。
そのとき、Q・C・Dを念頭に置いて、
「では、品質については万全のものにしたいということですね」などと、
大雑把にまとめるのがコツである?
 
A:「Q・C・Dを念頭に置いて」というところまではOKです。
その後の、「大雑把」にするのはまずいです。
大雑把ではなく、あるいは抽象度を上げるのではなく、具体的に行いましょう。
そうでないと、ここまで何を話し合ってきたのかわからなくなります。
議論を進展させましょう。
このような大雑把な言い方、
まとめ方は現場でも結構されていますので、注意しましょう。 答:ノー
入試直前に利き腕骨折というハンディを乗り越えて
毎年繰り返される中学入試が一段落すると、
「今年もいろいろなことがあったなあ」
と、個々の受験生たちの顔が次から次へと浮かんできます。
雪の多い、ある年のことでした。
栄光学園中学が第一志望で、麻布中学を第二志望にしていたB君は、
入試直前まで野球を続けていた、がっしりした体つきの子供でした。
まさに文武両道の見本のような子です。
入試前日の一月三十一日のこと、運動神経が抜群のはずのB君でしたが、
雪でぬかるんだ道路で滑り、
その拍子になんと利き腕である右手の腕を折ってしまったのです。
本人から後できいた話によると、B君は激痛に耐えながら外科病院に行き、
そこで右手首から先を残して腕にギブスを当ててもらいました。
普通の日ならばともかく、
明日は栄光とどちらを本命にしようかと迷った麻布の入試の日です。
それも左手ならまだ救いがありましたが、
鉛筆をもつほうの腕が真ん中からポッキリと折れたのです。
B君の頭の中に、「滑った」「骨折り損」といった、
マイナスイメージの言葉が一瞬かけめぐったことは想像に難くありません。
加えて腕もズキズキうずきます。
そこで彼は一つの決心をしました。二月一日の麻布の受験はパスして、
栄光一本に絞ろうと考えたわけです。
つまり、一日目の麻布の入試をうけないことによって腕の負担をできるだけ軽くし、
本命一本に全力を注ごうというのです。
野球でいえば、リスクの多い二連投を避けようということです。
二月一日、仲間が受験をしている最中、B君は腕の痛みに耐えながら、
明日の本番に向けて静かに一日をすごしました。
そしていよいよ二日の入試本番。B君は腕をつるしていた包帯を外し、
思うように動かない指に鉛筆を握りしめ、必死で答案用紙に向かいました。
しかし試験中は、不思議と痛みは感じなかったそうです。
結果は合格でした。
野球で培われた不屈の精神が、土壇場で力を発揮したものと思えます。
その翌日、B君のギブスという出で立ちながら、
満面に笑みを浮かべて学習指導会にやってきました。そして開口いちばん、
「やったよー!」
と、利き腕でない左手を高くかかげました。
その様子はまさに、決勝ホームランを打って塁上を回っている打者のようでした。
ここで成績と合否について触れておきましょう。
B君の場合は二学期になって成績が急上昇しましたが、
このように夏休みを過ぎてから学力がアップするタイプは、ひじょうに合格率が高いですね。
成績上昇の勢いが、そのまま入試まで続く感じです。
 
スキル4 アクティブクエスチョン
 こちらから積極的に質問して、問題や課題を見いだします
 
解決しなければいけない本当の問題や課題は何かを見いだすために、
相手の状況や考え方を広く深く聴いていきます。いわゆるヒアリングを行います。
 ヒアリングのスキルを、2つの観点で紹介します。
それが、「スキル4 アクティブクエスチョン」と「スキル5 コントロールリスニング」です。
 スキル4が上手な質問の仕方で、スキル5が上手な聴き方になります。
実際に行うときには、この2つのスキルをワンセットで一緒に行いますが、
ここでは理解しやすくするために別々に紹介します。
 まず、スキル4 アクティブクエスチョンです。
こちらから積極的に質問していくという意味で、
「アクティブ:能動的」に相手に働きかけて、「クエスチョン:質問する」ということです。
 ではここで、事例を見てみましょう。
 
SE:小さい声で「先日の仕様変更の件ですが、納期まで1ヶ月しかありません、
体力不足でとても無理なので、別案件として納期後というわけには・・・」
ユーザ:強い口調で「ダメです。これはエンドユーザから出ている要望なんです、
彼らの希望を取り入れて開発するのが貴方の仕事でしょう?
私どもとしては、仕様変更とは考えていません」
SE:「そうですか。では、予算は別途出していただけるんでしょうか?」
ユーザ:「出せません」
SE:「納期の延長はできないでしょうか?」
ユーザ:「考えていません」
SE:「納期までに絶対やらないといけない重要な機能と、
納期後でもよい重要でない機能に分けてもらえないでしょうか?」
ユーザ:「全て重要です」
SE:「えー! どうしょうもないですね・・・」

以上のようなことになると困りますね。どうしたらよいか、ちょっと考えてみてください。
ここで便利なのが、アクティブクエスチョンです。
 
①狙い
①問題や課題を見いだす
こちらから積極的に質問をして、相手の状況や考えを掘り下げて聴き、
問題や課題を明らかにして、相手と合意します。
 
②ポイント
①相手の立場、統合的立場に立つ
「この機能は後回しにできませんか?」「テスト要員を出してはもらえませんか?」のように、
自分の都合でイエスやノーを迫るやり方をする人がいます。
これだけで終わっては、ここで考えているヒアリングとはいえません。
相手が抱えている問題や課題を聴き出す必要があります。
したがって、相手の立場に立つことが重要です。
さらには、より良い解決策作りという点から、自分だとか相手だとかを超え、統合的立場で聴いていきましょう。

②ヨミを働かせる
こういう状況だからこういったことが問題と思っているのではないか、
相手にこういう質問をしたら相手はこのように答えてくるのではないか、
といったようなヨミを常に働かせながら聴いていきましょう。
これにより、掘り下げた、幅広い質問が思い浮かび、突っ込んだヒアリングになっていきます。
ヨミを働かさなければ、相手の立場に立って考えたということにはなりません。

③質問項目と言い方の両方を適切にする
良い質問の仕方には2つの観点があります。
1つは質問の内容が適切であることです。
どんな場合でも、ある状況の下で交渉をするわけですから、
既知の状況から判断して、どんな質問をするのが最もよいのか、
質問項目とその順番を事前に具体的に準備して、イメージができている必要があります。
そして実際にヒアリングに入ったら、状況対応が必要になります。
その場で、次にはどんな質問をしたらよいかを適切に選択していかなければなりません。 
 
 2つ目は、適切な言い方をする必要があることです。
相手が感情的反発をしたくなるような出方はまずいですから、穏やかな態度と言葉遣いをしましょう。
 
③やり方
①手段の前に目的を
交渉は、「どのようにしたら問題は解決するのか」、つまり「手段」を最終的に合意したくて行っているわけです。
しかしその前に、何を狙っているのか、
何を解決したらよいのかという「目的」が明確になっていなければおかしいわけです。
当然、目的があって、それからその目的をどのように達成しようか、という手段の話になるわけです。
この順番には注意しましょう。
本節冒頭の例で話している予算追加、納期延長、機能削減等は、手段の問題です。
何のための開発なのか、何をしたいのかの「目的」ではありません。
したがって、このような質問から入るのは、やり方として不適切です。
しかも、このときの相手の心理状態はどうでしょうか?否定的な心理です。
「貴方の言い分には反対だ」という段階にあります。
このときに予算追加を聴いたら、相手は何と答えたくなるでしょうか?
当然、「(とりあえず)ダメだ(といっておこう)」です。
つまり90%以上の確率で、これら手段の質問には単に「ノー」が出てくるだけになってしまうのです。
これでは、交渉を進めにくくするだけです。
そこで入りの質問は、目的に向かうのが得策です。
「仕様変更での狙いは、どういったことなのでしょうか?」といった具合です。
交渉全体でいうと、最初は目的を重点にして段々と手段の話を煮詰めていく、というイメージで捉えてください。
 
②仮説を立てる
突っ込んだヒアリングをして相手をコントロールしようと思ったら、
出たとこ勝負というのではなしに、仮説を立てて事前準備をしなければいけません。
仮説を立てるとは、
「こういう状況なら、このようなプレゼンテーションをすれば、こういった反対が出てきて、
こういう質問をし、このような課題になるだろう」といった一連の流れを推測するのです。
「落としどころ」という言い方をする人もいると思いますが、
その日の最後、つまりゴールを推測するのです。
それにより、どんな質問をすればよいか、ということが決まります。
山へ登ろうという意気込みだけではなく、
富士山を目指すのか、ヒマラヤなのか、それによって装備も全く異なってくるはずですね。
 
③ノウハウをもって、部分でなく全体的な視野で
こちらにそれなりの力がないと、良いヒアリングはできません。
相手とは異なった視点がないと、しかも経験と実績に裏打ちされたノウハウがないと、
相手をコントロールできません。
相手のご意見をお伺いするだけの受け身型で終わってしまいます。
また、相手は必ずしもシステム全体のことを考えていってくるわけではありません。
視野の広さが問われます。
自分の視野の範囲内でしかシステム開発はできません。
広い視野をもって、部分に走るのではなく、全体的な捉え方をすることが大切です。
たとえば画面項目のことだけを考えてシステム全体の動きを考えないと、
ほかとの関係がおろそかになり、問題を起こす火種を作ることになります。
部分を見ながらも常に全体的視野をもってヒアリングを行いましょう。
 
④三言目の質問
鋭い質問で掘り下げていくことが大切ですが、そのために「三言目の質問」を心がけましょう。
自分の質問(一言目)に対する相手の答えを聴いたら(二言目)、
その答えに関連させてさらに掘り下げて聴いていくのです(三言目)。
 
一言目 ここで気になる点はありますか?
二言目 「システム部以外の部門の人も使うので、入力ミスが気になる」ということですね。
三言目 なるほど。すると、そのためのテスト項目はいかがお考えなのでしょうか?
 
なお、これを行うためには、スキル2 プレゼンテーションで紹介した「構造化」を行うことが大切です。
そういう頭の使い方ができていると、「三言目の質問」が適切に、かつ素早く行えます。
次のように考えていくわけです。
 
・Aの細目の1つがXだとわかった。それでは、Y,Zということはないのだろうか?
・A、Bときた。しかし、その間でMということはないだろうか?
なぜA、Bなのだろうか? A、Bの関係はどうなのだろうか?
 
一般的にいえば、三言目の質問項目は、
 ・その(二言目の)理由を聴く
 ・そのいきさつを聴く
 ・それに関連して聴く
 ・それ以外に幅を広げて聴く
 
⑤SPIN法
 質問項目を用意するために、SPIN法というのがあります。
これは古くからあるノウハウで、質問の枠取りを4種類にして抜けなく質問しましょう、ということです。
 状況質問(Situation Question)、
問題質問(Problem Question)、
意味質問(Implication Question)、
解決質問(Need-Payoff Question)の4種類です。
なお、S→P→I→Nの順番にはそれほどこだわる必要はありません。
この順番になる傾向がある、という程度です。
 「状況」を聴く質問が最も多いと思いますが、
「意味」を聴く質問も必ずすることようにしましょう。
特に、目的を聴くということは、この意味質問をすることだと考えましょう。
 なお解決質問では、聴くだけで、解決策を詰めていかないようにしてください。
解決策作りは次のSLフェーズで行いたい(課題が合意できてから)ので、
ここでは聴きおくだけにしましょう。
この時点で相手相手が解決策を提案してきたら、
「なるほど、そういうやり方も1つあり得ますね。
それでは、解決策のヒントとして、後ほど掘り下げて検討させてください」というように、対応します。
 
⑥穏やかな態度と言葉遣いで
 相手が答えたくなるような雰囲気で行いましょう。
ヒアリングといっても、刑事の尋問とは違います。
穏やかな態度を取りましょう。
にこやかに、落ち着いた、リラックスした、キチンとした態度を取ってください。
 しっかりした言葉遣いで、ほどよいテンポで、相手が考える間を取って、丁寧な言い回しをしましょう。
問題を聴き出すといっても、「これも、あれも問題ですね」といったような「あら探し」にならないようにしてください。
 
Q&A 15
 Q:あまり突っ込んだ質問をすると相手の感情を害することがあるし、
相手の内情を根掘り葉掘り聴くのは失礼に当たることもあるし、
相手との人間関係ができていないうちは、アクティブクエスチョンはほどほどにせざるを得ない?
 
A:確かに下手な質問をして、設問にあるような感情を害すること、失礼に当たることがあり得ます。
また、人間関係ができていないうちは、掘り下げた質問をしづらいものです。
とはいえ、だから「ほどほどにせざるを得ない」と考えるのではなく、
だから「質問のスキルを磨かなければいけない」と考えましょう。 答:ノー
 
Q&A 16
 Q:アクティブクエスチョンでは、質問をしていく中で解決策のヒントが出たら、
素早く反応して、そこで解決策を作り込んでいく積極性が望ましい?
 
A:ヒントが出たらメモをして、「こうやると、上手くいくかもしれませんね」と同意し、
「では、この案は解決策を作るときの重要なヒント、もしくは案の1つにさせてください」といって、
次のSLフェーズまでもち越しましょう。
というのは、まだ状況把握をしている段階で、課題が合意できていないのですから、
軽々しく解決策を作ると拙速になります。
スピード重視と、その場しのぎの解決策を作って良しとすることとは違いますね。 答:ノー


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